書誌情報:平凡社新書(461),227頁,本体価格:720円,2009年5月15日発行
- 作者:不破 哲三
- 発売日: 2009/05/16
- メディア: 新書
- -
「マルクスを,マルクス自身の歴史のなかで読む」。哲学,経済学,未来社会の3点に絞って論じたマルクス論だ。代々木の出版社ではなく,文京区白山の出版社というのがいい。労働者の人間発達論への目配りとマンガでは表現されえない叙述の妙ということでは,この間出たマルクス本のなかでは出色である。
著者のマルクス論と所属する党の見地とはいつも重なるのが気になる。著者の見解が党のそれを代表し,いつの間にか「公認」されてきたように思われる。国家独占資本主義論,構造改革論,先進国革命論,複数政党制論,プロレタリア独裁論などとは違って,本書は著者の考え方を提示したもので,党の見解とは異なる(同じであってもいいが)ことが明記されていていい。
「現在の社会を特徴づける「資本主義社会」という言葉も,マルクスが名づけ親である」(89ページ)は微妙な表現だ。「資本主義」という言葉自体はマルクスのものではないことはすでにはっきりしているからだ。
- 関連エントリー
- 木暮太一監修『図解 これならわかる! マルクスと資本論』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090605/1244209402
- 門井文雄原作/紙屋高雪構成・解説/石川康宏協力『理論劇画 マルクス資本論』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090602/1243950546
- 三田誠広著『マルクスの逆襲』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090601/1243866173
- 大村泉・宮川彰・大和田寛編『『学説史』から始める経済学――剰余価値とは何か――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090501/1241170049
- 的場昭弘著『超訳『資本論』第2巻――拡大再生産のメカニズム――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090401/1238576411
- 的場昭弘監修・弘兼憲史著『知識ゼロからのマルクス経済学入門』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090312/1236867187
- 演劇『資本論』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090228/1235797369
- 木暮太一著『マルクスる?――世界一簡単なマルクス経済学の本――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090213/1234533673
- 基礎経済科学研究所編『時代はまるで資本論――貧困と発達を問う全10講――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090209/1234187967
- マルクス作(バラエティ・アートワークス漫画)『まんがで読破 資本論』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090208/1234099877
- 嶋崇著『いまこそ『資本論』』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080916/1221557443
- 的場昭弘著『超訳『資本論』』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080505/1209993407
- フランシス・ウィーン著(中山元訳)『マルクスの『資本論』』』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20071113/1194948193
- 『資本論』,そして「労働日」――経済学対話――→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070302/1172826551