334日本村落研究学会編『年報 村落社会研究44 近世村落社会の共同性を再考する――日本・西欧・アジアにおける村落社会の源を求めて――』

書誌情報:農山漁村文化協会,314頁,本体価格:5,600円,2009年1月31日発行

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経済史の共同体論はながらく大塚久雄理論を準拠としてきた。本書収録の平井「ヨーロッパ農村社会史研究と共同体再考――北西ドイツ農村史の視点から――」をみると,中世の共同体的関係や共同体的土地制度が特定の定住・耕地形態と結びついていた。農村社会の共同体が地方的な多様性とホーフの持つ資源管理組織という利益組織性を持っており,かならずしもゲルマン的形態としてまとめきれないという。
全体として共同体論の新たなパラダイムの模索という趣旨はよくわかった。小野塚知二・沼尻晃伸編著『大塚久雄「共同体の基礎理論」を読み直す』(日本経済評論社,2007年,isbn:9784818819184)を読み直さないといけない。

執筆者 タイトル
長谷部弘 序章 村落的共同性を再考する
平井 進 ヨーロッパ農村社会史研究と共同体再考――北西ドイツ農村史の視点から――
村山 聡 近世村落史料の体系性と比較分析の可能性
高木正朗 仙台藩村落の人口変動と「村の共同性」――土地売買からみた――
山内 太 近世村落社会における共同性の諸相――信州上田藩上塩尻村を事例として――
伊丹一浩 19世紀フランス・オート=アルプ県における地域資源管理と共同性
高橋基泰 歴史的実態としての共同性再発掘――イギリス農村史研究の視点から――
藤井 勝 タイ東北部村落社会の《家―村》論的考察――《バーン―ムー・バーン》を中心として――
- 史学・経済史学の研究動向
- 社会学・農村社会学の研究動向
- 第55回村研大会記事
- 編集後記