書誌情報:八朔社,xiv+257頁,本体価格2,400円,2009年5月5日発行
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剰余価値論の歴史的系譜を扱った末永茂喜(1908-1977)の『経済学史』(「経済学全書」第2巻,三笠書房,1952)の全文を復刻収録し(第I部),『資本論』の剰余価値論を解説した(第II部),剰余価値論入門書である。
末永本は,『剰余価値学説史』を要約したものだが,剰余価値がマルクス以前の経済学者にどのように準備されていたのか,また同時に利潤や地代とどう関連するのか,を整理した『剰余価値学説史』のユニークな研究書である。『剰余価値学説史』の全容(23冊のノートからなる1861-63年の『経済学批判』草稿が公刊されたのは,1980年代以降の新MEGAによる)が未見の段階で,利潤・地代論史を踏まえた唯一の著書である。末永本の類書(むしろこちらがよく知られている)に,久留間鮫造・玉野井芳郎『経済学史』(岩波全書,1954年;改版1977年)がある。こちらは,カウツキー版『剰余価値学説史』の構成をほぼ踏襲したもので,たとえば,「最後の重商主義者」ステュアートは一顧だにされていない。
評者は,第II部第2章「剰余価値の生成」と<学習案内>「インターネットで学ぶマルクス」を書いている。経済学史やマルクス経済学入門のテキストに使っていただけたら幸いだ。
もくじ | - | - |
はじめに | - | 大村 泉・宮川 彰・大和田寛 |
第I部 | 剰余価値論――歴史的系譜 | 末永茂喜 |
- | はしがき | - |
- | 緒論 | - |
- | 第1篇 いわゆる経済学者 | - |
- | 第1章 ステュアート | - |
- | 第2章 重農学派 | - |
- | 第3章 アダム・スミス | - |
- | 第4章 リカードウ | - |
- | 第5章 マルサス | - |
- | 第6章 ジェイムズ・ミル | - |
- | 第2篇 プロレタリア的反対論者 | - |
- | 第7章 ホジスキン | - |
- | 第3篇 歴史性の発見 | - |
- | 第8章 ジョーンズ | - |
- | 末永茂喜評伝 | 大和田寛 |
第II部 | 『資本論』の剰余価値論――その核心・現代的意義 | - |
- | 序章 『資本論』執筆当時の労働者の状態――19世紀中葉,イギリスにおける格差社会 | 小野良寛 |
- | 第1章 価値 | 平林一隆 |
- | 第2章 剰余価値の生成 | 赤間道夫 |
- | 第3章 剰余価値と剰余労働 J. S. ミル,ディルク | 齊藤彰一・久保誠二郎 |
- | 第4章 労働日と剰余価値の生産 | 大村 泉 |
- | 第5章 生産力の発展と剰余価値 | 久保誠二郎 |
- | 第6章 労賃 | 齊藤彰一 |
- | 第7章 資本蓄積と分配問題の原理的解明 | 宮川 彰 |
- | 第8章 資本主義的蓄積の一般的法則と現代社会 | 鳥居伸好 |
- | 河上肇の生涯と『貧乏物語』 | 玉岡 敦 |
- | 小林多喜二とその作品 | 大和田寛 |
- | インターネットで学ぶマルクス | 赤間道夫 |
- | マルクス/エンゲルス文献 | 玉岡 敦 |
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