女子はシンガポールが中国の9連覇を阻止して初優勝した。シンガポールは3人とも元中国選手だから,実は中国選手権。中国にとっては第1試合と第2試合の連敗が誤算だったろう。シンガポールの世界ランク2位の FENG の2勝,中国は逆に世界ランク1位の LIU の2敗が大きかった。
- FENG Tianwei (A) 3-2 DING Ning (X)
- WANG Yuegu (B) 3-1 LIU Shiwen (Y)
- SUN Beibei (C) 1-3 GUO Yan (Z)
- FENG Tianwei (A) 3-2 LIU Shiwen (Y)
男子は中国,とくに MA Lin の気迫がすごかった。OVTCHAROV を零封し,BOLL との対戦では徹底した攻撃が光った。サーブの時には3球目,レシーブの時にはまずネット際に落とし4球目を狙う。左利き BOLL のフォア(バッククロスとフォアストレート)を突く。繋ぎのバックショートも裏面打法のバックも封印し,オールフォアは圧巻だった。逆に BOLL はつねに後手後手にまわり,MA を追い詰めるまではいかなかった。
シェークハンド全盛時代にあって,MA,WANG Hao,XU Xin(左利き)らの中国式ペンホルダー(バックはショートだけでなく,裏面打法),さらには伝統的日本式ペンホルダーで一線に留まっている韓国の RYU というペンホルダー選手の活躍は卓球を面白くしている。
80年代中国式表ソフトで中国を最強に導いた江加良や陳龍燦などを,スウェーデンのワルドナーやパーソンらがシェークハンドで圧倒したことがある。MA や WANG らは裏ソフトで裏面打法を編み出すことで,ドライブの威力と両ハンドでシェークハンドと対等に戦える水準に高めたことになる。
MA の圧倒的な強さは中国式ペンラケットの健在振りと卓球の醍醐味を伝えることになったのではないかと思う。
- BOLL Timo (A) 3-2 MA Long (X)
- OVTCHAROV Dimitrij (B) 0-3 MA Lin (Y)
- SUSS Christian (C) 1-3 ZHANG Jike (Z)
- BOLL Timo (A) 1-3 MA Lin (Y)