書誌情報:角川文庫(か-7-5),185頁,本体価格743円,2010年5月25日発行
- 作者: 片岡義男
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/05/25
- メディア: 文庫
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評者も愛用するロディアのパッド(方眼紙入り)を11,12,13,14,16,18,19を大きい順に積み上げる。ロディアの塔ができる。「なかなか知的な予感の漂う,端正に美しい塔」(81ページ)になる。ロディアのパッドには15と17が欠番であり,17は仕様違いのものがある。
ロディア11を12冊,オブジェのように撮ったものがある(86ページ)。「おなじサイズですくなくとも十二冊あると,それらはオブジェとなり得る。ロディアの11番がこんなふうにたくさんあり,直射光のなかで彫刻作品に化身するのを見るのは,幸せの一種だ」(85〜88ページ)。
ロディアのパッドを積んで,並べてオブジェにする人は著者以外にはいないだろうが,身近な文房具(雑貨)を並べて悦に入るのは評者だけではなかった。
実用でなければ意味がない文房具に物語と造形を見いだす文房具論は読んだことがない。単行本(東京書籍,2003年8月,isbn:9784487799138)を読んだのは文房具そのものへの興味からだった。文房具を机の上に並べて写真で撮る。文房具を通して生産や創造の意味を見つけようとしていることにあらためて気がつくことになった。
評者もロディア11の黄と黒を黒の薩摩焼に入れて試してみた。彫刻作品の失敗作には見える。