788土橋正著『文具上手』

書誌情報:東京書籍,180頁,本体価格1,500円,2012年8月3日発行

文具上手

文具上手

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文房具に関する書籍やムック本には固定読者(イコール文房具ファン?)がいる。評者もそのひとりで,ひところ買い漁ったムック本への熱は急速に冷め,最近は本屋さんで立ち読みで済ましている。
本書は,12人の文具術の紹介本だ。プロダクトデザイナー経理職,用紙制作会社,小児科医,空間デザイナー,商社員,新聞記者,企画・イラストレーター,雑貨店,万年筆アドバイザー,テレビプロデューサー,グラフィックデザイナーと仕事は多岐にわたっている。筆記具,ノート,メモ帳などそれぞれにこだわりがある。一部の万年筆をのぞけば,文具店などで手に入るなじみの文具ばかりで,意外に高価な文具を使っていない。ロディアモレスキン,ラミーのサファリの愛好者が多かったのはたまたまかもしれない。
文具を通してみた仕事術といってもいい。タスク管理やスケジュール管理に知恵を絞っていることがわかる。経理に欠かせない電卓では「シャープ派」と「カシオ派」に分かれるそうだ。メモをするのは「やるべきことを一旦全て書き出すことで頭からなくし,それにより今取り組むべき仕事だけに集中できる」(87ページ)。記憶の負担を解放してやることで集中力を高める。評者の日常から実感できた。
著者は,「文具ウェブマガジン」(→http://www.pen-info.jp)の発行や「All About」のステーショナリーガイド(→http://form.allabout.co.jp/s/121226/)をつとめている。12人への取材を重ねた文章と各章数葉のカラー写真を使い,わかりやすい構成となっている。編集「上手」な本でもある。