789里中哲彦著『英文法の魅力――日本人の知っておきたい105のコツ――』

書誌情報:中公新書(2165),viii+212頁,本体価格740円,2012年5月25日発行

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2012年は,exhibition を22,hirata を6,intermezzo を70,introduction を116,meeting を19,miscellany を140,review を1,の計374エントリー書いた。締め括りは年末に一気に読んだこの本だ。
東京新聞および中日新聞に連載した「英語の質問箱」(2010年11月23日〜2012年1月10日)に大幅加筆し,英文法についての質問を纏めた。語源,語彙,語感,語法,語義,誤解の105のチップス集である。この種の本を読む度間違った英語の使い方に気づかされる。
口語では I wish I was ... が多く使われる,I regret や I'm sorry の後ろは過去の事実を置く,名前をもって可愛がられるペットは人間と同様の扱いをする,be out of order は私的所有物を主語にとれない,seldom はめったに使わない(!)など例文とユーモアで解説している。
前置詞を文末に置いてはダメというという日常会話の慣用を否定する文法をからかったチャーチルの Prepositions shoudn't be used to end sentences with.(前置詞を文の終わりに使うべきではない。)の紹介やマドンナの東京ライブでの Yeah! と連呼する観客をからかった話は思わずにやりとしてしまった。英語上達の秘訣は音読にあるとさりげなく強調したり,William の名前のアイルランド人,またはアイルランド系の男性はまずいないにはハゲドウ(激しく同意)した。
「文法は言語より以前に存在したものではありません。まず言語があって,それを整理したり説明したりするために,あとからつくられたのです」(「はじめに」)。「文法力のある人は,話す必要が生じたときに短期間である程度の会話力を確実に身につけますが,文法をおろそかにした人は途中で頭打ちになり,まとまった内容のある話がいっこうにできるようになりません」(同上)。御意。