日経「文化往来」に「ヘボン和英辞典ロンドン版,明学大が初復刻」の記事が載っていた(12月13日付)。
ヘボン式ローマ字で知られる米国人J・C・ヘボンが幕末に編んだ和英辞典ロンドン版が初めて復刻された。当時の大英帝国をはじめ欧米諸国にとって,ロンドン版は開国直後の日本を知る第一級の資料だった。激動の時代,欧米外交官や日本研究者が愛用したとみられる書物が身近な存在となる。
ロンドン版を復元したのはヘボンが創立した明治学院大学。初版は横浜(1200部)とロンドン(部数は不明)で出されており,横浜版はすでに1966年に復刻されているが,明学大によると,古書価格は5万円前後。ロンドン版は国内では大学など5校が所蔵するのみという。明治学院所蔵本には英国外務省の焼き印がある。
この和英辞典は正式には「和英語林集成」といい,英和辞典の部分もつく。3版(1886年)で使ったローマ字表記がヘボン式として広まった。初版には幕末の日本語2万が用例豊に掲載され,ほぼすべてヘボンが日本人から聞き取ったという。例えば「あばよ」の解説として「グッドバイ(こども相手しか使わない)」とあり,当時の会話風景が想像できる。
「辞書を読む楽しみを味わってほしい」と明学大の岩谷英昭常務理事。同大は2000部を印刷した。問い合わせは同大(電話番号省略)
明治学院大学図書館には「『和英語林集成』デジタルアーカイブズ」(→http://www.meijigakuin.ac.jp/mgda/index.html)が構築されている(2006年3月22日)。「デジタル和英語林集成」での検索,「関連辞書年表」,「主要辞書目録」,「ヘボン式ローマ字への道」,「語林集成漢字索引」の大項目のほか,解説とトピックスもある。偽版が大量に出回ったこと,著作権請求の日本初であること,日本で最初の和独辞典『和獨對譯字林』の底本だったことなどが綴られている。
用例にひとつ付け加えよう。
・Hebon, ヘボン,n. Hepburn (my family name)
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