620全国初の文化助成機関「アーツカウンシル東京」発足

日経「文化往来」にまたまた評者の関心を引いた記事があった。「東京都が専門家常勤の文化助成機関」がそれだ(12月14日付)。イギリスのアーツカウンシル(芸術評議会)設立にはケインズが関係し,'at arm's length' 原則の文化芸術を振興したことで知られている。その名前を冠した組織がようやく日本でもできたことになる。文化芸術振興のためにはアートマネジメントの専門家が必要であり,常勤のスタッフを配した「アーツカウンシル東京」に注目だ。

評価と検証に基づき,文化芸術への助成を質的に向上させようと東京都は「アーツカウンシル東京」を先ごろ発足させた。常勤の専門スタッフをおく全国初の文化助成機関となる。
アーツカウンシルの名は,英国の同名組織(芸術評議会)がもと。都の新組織はプログラムオフィサーと呼ばれる常勤の専門家4人が助成金(年9千万円)を配分する。文化助成で一般的だった赤字補てん方式から,ニーズを発掘し,経費の一部を前払いする方式に転換。アートマネジメントの専門家養成を唱え,公演や展覧会の評価リポートを書く調査員も配する。
アーツカウンシルについては国が芸術文化振興基金に事務局をおいて試行段階に入ったが,専門スタッフはいまだ非常勤だ。文化芸術に明るい有識者のカウンシルボード(福地茂男名誉議長)が方針の責任をになう都の仕組みは文化の専門官僚を欠く国よりも現場の感覚に近く,今後の展開が注目される。ボード委員の吉本光宏ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室長は「常勤の専門家を確保できたのは画期的」と語る。
事務局は公益財団法人・東京都歴史文化財団におかれ,来年早々には国際シンポジウムも計画する。民間の寄付金を募って助成額を増やしていくのが課題となる。

「アーツカウンシル東京」のウェブ(→http://www.artscouncil-tokyo.jp)をみても,「支援事業」と「パイロット事業」もようやく始まったの感が強い(「企画戦略事業」はまだ姿が見えない)。「アーツカウンシル東京」の発足記念フォーラムは11月5日に開かれていた(「インターネットミュージアム」→http://www.museum.or.jp/modules/topNews/index.php?page=article&storyid=2809)。大阪と沖縄でも設立の動きがあるという。