108ナタリー・エニック著(三浦篤訳)『ゴッホはなぜゴッホになったか――芸術の社会学的考察――』

書誌情報:藤原書店,360頁,本体価格3,800円,2005年3月30日

ゴッホはなぜゴッホになったか―芸術の社会学的考察

ゴッホはなぜゴッホになったか―芸術の社会学的考察

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著者は,ピエール・ブルデューの弟子にあたるという。社会学をベースとしながら,カバーする領域は広く,美術史学,宗教学,人類学,精神分析,経済学などにも及んでいる。ゴッホの神話を読み解くべく,伝統的な聖人伝に模して「逸脱,刷新」,「和解」,「巡礼」の3部構成でゴッホ死後のゴッホ評価史=受容史(1890年から1990年までの一世紀)を検証する。生前一枚の絵も売れなかったゴッホが悲劇の主人公として聖なる犠牲者として称揚される過程を描く。芸術社会学によるゴッホ神話解読は,文化現象としての「神話」一般の解読にも結びつく。