257富岡龍明・堀正広・田久保千之著『ライティングのための英文法ハンドブック』

書誌情報:研究社,xvi+353頁,本体価格2,000円,2008年4月30日

ライティングのための英文法ハンドブック

ライティングのための英文法ハンドブック

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英語が喋れないといいながら,益川さんは Sorry, I can't speak English. とちゃんと英語を喋っていた。
本書は,実用上の頻度とコロケーション(連語可能性)とに着目した実践的ハンドブックである。タイトルのとおり,ライティングのための英文法論である。簡単な例文と解説があり,日本人学習者が陥りやすい間違いや英語特有の表現についてまとめている。
評者は強心臓を持っていると自負しているが,これまでなんと英語らしくない英語を使ってきたか,赤面するばかりだ。同時に,多少なりとも自信を持つことができた。文法のための文法書でなく,かつ網羅していないところがいい。
かつて斎藤兆史『英語達人列伝』(中公新書1553,2000年5月,isbn:4121015339)で,岡倉天心のエピソードを紹介していた。横山大観とボストンの街を歩いていたとき,一人の若者に声をかけられた。
What sort of 'nese are you people? Are you Chinese, or Japanese, or Javanese?
天心は毅然としてこう答えたという。
We are Japanese gentlemen. But what kind of 'key are you? Are you a Yankee, or a donkey, or a monkey?
こんな切り返しができたらすばらしいなと思っている。