書誌情報:東京大学教養学部英語部会編著,東京大学出版会,vii+257頁,本体価格1,800円,2009年3月23日発行
- 作者: 東京大学教養学部英語部会
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2009/03/24
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- 作者: 京都大学英語学術語彙研究グループ+研究社
- 出版社/メーカー: 研究社
- 発売日: 2009/06/20
- メディア: 新書
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1991年の大学設置基準の改定を契機として,国立大学の教養部は,東京医科歯科大学を例外として全廃となった。大学に入ると一般教養科目として英語は必修であり,その英語を担当する教員は教養部所属の教員であった。教養部がない大学は,各学部に属する英語担当教員が一般教養の英語を担当していた。教養部の廃止にともない,旧教養部所属教員は,既存の学部に分属したり,教養部を後継するセンターに配置転換がおこなわれた。一般教養科目の担当は前者の場合全学出動に,後者の場合外国語や体育などを中心に旧来方式を継承しながら全学出動になった。大学によって一般教養科目の実施体制は異なっており,依然試行錯誤が続いている。
このなかの一焦点は,外国語教育の充実である。大学設置基準改定以前は,2外国語の必修を特徴としていた(英語とそれ以外の第2外国語という例が多かった)。改訂後は,大学独自の裁量で4年間の一般教育と専門教育との単位数などを決められることになり,それに対応して外国語の単位数を減らす大学が続出した。第2外国語を必修から外し,選択にした大学も多い。医学部も例外ではなく,ドイツ語を知らない医者(およびその卵)は今やごまんといる。
前置きが長くなってしまった。東大と京大の英単は期せずして今年前半に出た。大学受験の延長ではなく,大学で使う英語力を向上させようという問題意識では共通だ。東大のは280語と限定した単語を徹底して使いこなそうという例文・解説・例題中心の,京大のは学術語彙データベースをもとにした文系理系共通,文系,理系とにわけた語彙の習得中心の,構成の違いがある(東大=発信型,京大=暗記型)。
「大学生を対象とした英単語集は,大学受験用英単語集に比べ圧倒的に数が少ない」(京大)。もっとも各大学では独自のテキストを作ったり,デジタル教材の工夫の例はなにも東大,京大だけではない。これら英単には大学の語学教育充実に努力している大学教員の詠嘆も聞かれるかもしれない。