574高島利行・仲俣暁生・橋本大也・沢辺均・山路達也・植村八潮・星野渉・深沢英次著『電子書籍と出版ーーデジタル/ネットワーク化するメディアーー』

書誌情報:ポット出版,205頁,本体価格1,600円,2010年7月10日発行

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愛用の MacBook Air のハードディスクが壊れてしまったようだ。ディスクを初期化して Time Machine で復元したりシステムを入れ直したりしてみたが,調子がおかしい。修理に出すことにした。
てなわけで今日は iPad からのポストになった。ごく簡単な紹介だ。
ポット出版のウェブサイト,トークセッション,講演などをまとめたもの。電子書籍リーダーとそれに対応したコンテンツの普及で出版とそれを担ってきた出版社の意味が問われている。出版社はなくなってしまうかもしれないが,出版は残る。文字情報伝達の手段が紙から電子情報になって,既得権益を持つ人・組織にとっては電子書籍はまぎれもなく脅威にちがいない。出版に関係している著者たちの電子書籍の可能性への期待が一番の収穫だ。
電子書籍は出版社,書店,図書館,編集者,デザイナーなど本にかかわるあらゆるところに影響してくる。
「研究者たちはみんな PDF をプリントアウトして,そこに線を引いたり綴じたりしてるんだってね。iPadKindle が話題になっているけど,研究者たちは電子のまま利用し」ないし,「大量に読むにはやっぱり紙じゃなきゃダメなんだけど,大量に紙で読んで,必要でなくなったらすぐ捨てられて,また欲しくなったらすぐプリントアウトすることができることが良いんだ」(沢辺と植村の発言,125ページ)は評者の実感そのものだ。読む本は紙,データ保存はデジタル。利用者視点からしても電子書籍の動向からは目を離せない。