1410司馬遼太郎著『峠』上・中・下

書誌情報:新潮文庫(し-9-40〜42),511頁,571頁,445頁,本体価格750円,790円,670円,2003年10月25日発行

峠(上) (新潮文庫)

峠(上) (新潮文庫)

  • 作者:司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/10/25
  • メディア: 文庫
峠(中) (新潮文庫)

峠(中) (新潮文庫)

  • 作者:司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/10/25
  • メディア: 文庫
峠(下) (新潮文庫)

峠(下) (新潮文庫)

  • 作者:司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/10/25
  • メディア: 文庫

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映画「峠 最後のサムライ」(小泉堯史監督・脚本,2020年公開)の原作。毎日新聞の1966年11月から1968年5月まで連載された。新聞小説として『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』との間にあたる。これまでよく知られた歴史的人物(織田信長羽柴秀吉坂本竜馬土方歳三ら)とは異なって越後長岡藩の執政というさほど知られていなかった河井継之助が本書の主人公であり,本書以降の著者のライフワークとなる。江藤新平(『歳月』),村田蔵六(『花神』),秋山兄弟(『坂の上の雲』)がそうである。

河井の社会観としてこう語らせている。「将軍や大名の権威の仕掛けは,血統と官位,城郭殿舎,それにそれをとりまくおびただしい家来の数と,さらには権威を権威たらしめる礼儀作法や儀典というものなどがその仕掛けのかずかずであろう」(上,90ページ)。

尊皇攘夷論のどろどろした内部事情(「謀略によって政権を略取した薩長」下,390ページ)や長岡藩に「不相応の芝居」(下,347ページ)をさせることになった北越戦争の機微の描写に本書の魅力がある。

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