162八幡浜・日土小学校,国の重要文化財(建造物)に

日土小学校の2棟が「合理的な構造と豊かな空間をもつ木造のモダニズム建築(近代/学校)」として重要文化財に指定された。報道発表では「今回の答申における特筆すべきもの」として旧佐渡鉱山採鉱施設とともに挙げられていた。

日土小学校は,戦後に建設された木造校舎で,合理的な構造と平面計画により,外壁の大きな連続窓で通風と採光の確保を実現した建物である。木造のモダニズム建築の優れた作品として意匠的に高い価値を有する。
日土小学校は,愛媛県の西部,八幡浜市の山あいに所在する。八幡浜市職員の松村正恒(まつむらまさつね)の設計により,中校舎は昭和31年,東校舎は同33年に竣 工した。
敷地は川の北側を占め,敷地の川寄りに校舎が並ぶ。緩やかな切妻屋根をかけた木造二階建で,要所に鉄骨の梁や筋交いを用いた合理的な構造をもつ。また,窓は柱の外側に枠を取り付け、天井に達する大きな開口部とする。
東校舎は,クラスター(房)型の教室配置とし,昇降口の南側に中庭を設けて採光と通風を確保する特徴的な平面をもつ。川に迫り出す二階ベランダが外観を特徴づける。
日土小学校は,合理的な構造と平面計画をもち,工業製品と身近な材料を用いた意匠により,豊かな空間をつくり上げており,木造のモダニズムの優れた作品として高い価値が認められる。(文化庁報道発表→http://www.bunka.go.jp/ima/press_release/pdf/jubunkenzou_shitei_121019.pdf

折しもアメリカの非営利団体「世界記念物基金」(WMF)が日土小学校の修復・保存に関わった専門家に「モダニズム賞」を授賞すると発表したばかりだった(共同通信発→http://www.47news.jp/CN/201210/CN2012100401000994.html愛媛大学http://www.ehime-u.ac.jp/education/news/detail.html?new_rec=9870)。
愛媛大学ミュージアムの特別展(関連エントリー参照)で写真と模型を見たが,実見していない。木造モダニズム建築が現役の小学校でもあることに意味があるように思う。見学会は夏,冬,春休みの年3回実施しており,今年度中としては冬休み中の12月30日(日)と春休み中の来年3月31日(日)にある(八幡浜市役所→http://www.city.yawatahama.ehime.jp/03jyouhou/syugaku/hiduti/hiduti.htm)。