書誌情報：平凡社新書（988），223頁，本体価格840円，2021年10月15日発行
学生アルバイトを真正面から論じた書物は意外と少ないなか，本書は，『学生生活調査』（文部省，文科省，現在は日本学生支援機構）と『学生の消費生活に関する実態調査（キャンパスライフデータ）』（全国大学生活協同組合連合会）をもとにした学生アルバイトの歴史と実態を詳述している。
戦後直後の苦学生のアルバイトから小遣い稼ぎを経て学生なら誰でも経験するアルバイトへと変わってきた経緯を上記調査の数字で分析する。かつてはアルバイト経験が就活ではマイナス評価されたことやアルバイト仲介が事業化されるようになったこと，ブラックバイトの出現や留学生のアルバイト事情も詳しい。
大学での専門的学びとアルバイトが結びついていない実態にたいし，アルバイトをとおした専門領域・教育とのかかわりを考えられないかとする見通しは外れてはいない。あるいは，本書では触れられていないインターンシップとアルバイトとの関係に解決点がありそうに思えた。
奨学金・授業料免除などの経済支援策がアルバイト時間減少につながっておらず，場合によってはアルバイト時間が長くなっている事実の指摘は予想外だった。
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