045別府地獄めぐり

別府に一泊して,土曜日の午前中を利用して別府地獄めぐりをしてきた。
海地獄→鬼石坊主地獄→山地獄→かまど地獄→鬼山地獄→白池地獄→血の池地獄→龍巻地獄,の順だ。それぞれに見応えがあった。朝一番(8時45分発)の定期観光バスには10人ほど。土産物探しには十分ではないが,2時間ちょっとのコースである。車内ではかつての七五調をまじえ,ガイドさんが親切に案内してくれた。ガイドさんによるとこれら地獄地はすべて個人所有なのだそうだ。
娘から頼まれていた海地獄の「地獄蒸し焼きプリン」(→http://www.umijigoku.co.jp/pudding.htm)と血の池地獄では自分用――なにしろ毎日の家事のため手荒れがひどい――に粘土から作った皮膚病に効く軟膏「血ノ池軟膏」(地名は「血の池」,軟膏名は「血ノ池」→http://www.chinoike.com/omiyage.html:なんと今晩放映の「ザ!鉄腕!DASH!!」の「東北vs九州 温泉名物を探せ!!」【http://www.ntv.co.jp/dash/07_gotouti/22_onsen/left_waist/01.html】にこの軟膏が登場した)を買う。軟膏は独特の臭いと塗布の後に赤い色が残る。「第3類医薬品」とは一度認められた既得権であり,現代医学から疑問視する説もある。自然療法の一種と考えておくのが無難だろう。

441池内紀著『富の王国 ロスチャイルド』

書誌情報:東洋経済新報社,245頁,本体価格1,800円,2008年12月4日発行

富の王国 ロスチャイルド

富の王国 ロスチャイルド

  • 作者:池内 紀
  • 発売日: 2008/11/01
  • メディア: 単行本

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21世紀の現在でもロスチャイルドはロンドンに銀行と投資会社,パリに銀行と金融会社,ジュネーブに金融会社,チューリヒに銀行を持っていて,ロスチャイルドの世界戦略の中心になっている。200年前の一介の金貸しとしてフランクフルトのユダヤ街の小さな店から始まったロスチャイルドの隆盛は,広瀬隆『赤い楯』(単行本1991年,文庫版96年asin:4087483827asin:4087483835asin:4087485544asin:4087485552)で執拗に追究されたように同族経営・同族結婚を武器に7代目の現在でも世界に君臨し,ユダヤ人陰謀説の矢面に立ってもいる。
ユダヤ博物館(元ロスチャイルド別邸),ロートシルト名のワイン,ロスチャイルド家と親しかったハインリッヒ・ハイネ,サン・シモニスト銀行との競合,福祉の「ほどこし屋」,フランスにおける社会主義の実験との関わり,金価格決定への関与などいくつかのエピソードを織り交ぜ,創業から現在までのロスチャイルドを追い,エッセー風にまとめている。
広瀬本ほどの体系性はないが,「ひそかに,めだたず,ひっそり」を処世訓に,「最新に調査して,大胆に投資する」ロスチャイルドの姿を描いている。
邸宅や城,日常品,美術品やらロスチャイルド家所有に起源をもつ「公共物」(=国家の収奪)がいかに多いか。ロスチャイルド家がいかに大きな蓄財をなしたかを知ることができる。
ロスチャイルド一族が血縁結婚(今はやめたという),高等教育,ユダヤ性の厳守,マスコミの利用を脈々たる伝統にしつつ「閨閥資本主義」を推し進め富の王国を築いてきたことは,まぎれもない事実だ。閨閥追究の徹底性では広瀬本に軍配を上げる。