109広瀬隆著『持丸長者[国家狂乱篇]――日本を動かした怪物たち――』

書誌情報:ダイヤモンド社,466頁,本体価格1,900円,2007年7月26日

持丸長者[国家狂乱篇]―日本を動かした怪物たち

持丸長者[国家狂乱篇]―日本を動かした怪物たち

  • 作者:広瀬 隆
  • 発売日: 2007/07/27
  • メディア: 単行本

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第1作『持丸長者[幕末・維新篇]――日本を動かした怪物たち――』(2007年2月1日,asin:4478920443。本ブログでの紹介 https://akamac.hatenablog.com/entry/20070622/1182506127 参照)の続編。明治・大正から昭和初期までの新聞・製紙,北海道開拓,鉄道,石炭・石油,銀行,新興財閥などを中心に戦時体制と敗戦までを描く。資産や事業の行方と現実社会で影響を与え合った人間が持つ縦横のつながりを示すため,本書でも閨閥図が描かれている。資本と金をめぐる固い絆で結ばれた人間たちが,軍事と結びつき国家システムを植民地支配と国家総動員体制に変えていくプロセスを執拗に描写する。
「悪事を美化し,隠し,嘘をもって書き換え,目をそむける人間が,総理大臣と文部科学大臣東京都知事,有象無象の評論家たちを筆頭に,いつまでも大手を振って徘徊する。こうしたゴミに類する猿人は,論ずるに足らない。猿以下である。」(257ページ)国家狂乱の日本史を学ぶことはこれら「猿以下」のお偉いさんを跋扈させないことに通じるだろう。現在活躍する多くの政治家や財界人たち,存在する多くの会社が原罪を負っている事実は隠しようがない。
本書に収録の図表一覧は以下。

図・表・系図 項目
図1 新聞の変遷図
図2 初期の製紙会社の技術開発史
図3 製紙会社の離合集散
図4 維新後の北海道の人口(明治〜大正)
図5 日本・朝鮮・満州の鉄道地図(1904年当時)
図6 満州の鉄道地図(1940年当時)
図7 石油業界の変遷図
図8 藤田組・日産・日立コンツェルンの沿革図
図9 日本の当道府県別人口
図10 植民地特殊銀行の変遷図
図11 満州事変以後の軍事費総額と歳出額に占める比率
図12 国家総動員体制の組織・人脈相関図
表1 業種別の総資産順位
表2 産業順位の変遷
表3 日本興業銀行の融資額
系図1 北海道の有力者閨閥
系図2 満鉄株主集団
系図3 藤田組・日産・日立の長州閨閥
系図4 新潟県石油業者と大地主
系図5 植民地金融機関の閨閥