1115何義麟著『台湾現代史――二・二八事件をめぐる歴史の再記憶――』

書誌情報:平凡社,270頁,本体価格2,800円,2014年9月17日発行

台湾現代史: 二・二八事件をめぐる歴史の再記憶

台湾現代史: 二・二八事件をめぐる歴史の再記憶

  • 作者:何 義麟
  • 発売日: 2014/09/19
  • メディア: 単行本

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台湾人にとって1947年2月28日の全島蜂起と政治改革の要求は,「犬(日本人)が去って豚(外省人)が来た」に象徴される歴史の分水嶺であった。50年の「犬」による植民地統治と40年の「豚」による戒厳令の間にこの「二・二八」があったことになる。
著者は,本書で「二・二八事件の経緯というより,むしろ事件のタブー化からタブーを破る運動,そして歴史記憶の中核となるまでを記した台湾現代史の道程」(227ページ)を書いた。「二大文化圏」(南東文化と漢族文化),「三大地域」(西部,東部,中央),「四大族群」(原住民,閩南人,客家人外省人)をキーワードにした台湾現代史は「二・二八」前後にはじまる民主化をもとめる台湾人の発掘と重なっていた。
台湾の白色テロの歴史は評者の同時代史でもあったにもかかわらず,台湾史についての無知に気づかされた。