990片倉佳史著『台湾に生きている「日本」』

書誌情報:祥伝社新書(149),300頁,本体価格900円,2009年3月5日発行

台湾に生きている「日本」 (祥伝社新書149)

台湾に生きている「日本」 (祥伝社新書149)

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今年の台湾行きのときには台湾情報については屈指の情報量を誇る著者のウェブから多くの情報を得た(→http://www.katakura.net)。
本書は,台湾を隈無く廻って収集した「日本遺産」である。官公庁や各種学校,駅舎などの歴史的建造物はじめ産業遺産,神社遺跡,一般家屋,石碑,戦争遺跡,日本語など「日本」探訪記は,植民地統治の光と影をそのまま映し出していた。折しも台湾における郷土史ブームは好むと好まざるとを問わず50年にわたる「日本」と向き合わなければならない。
国民党政府時代は徹底して「日本」を消そうとした。著者が発掘・発見した日本人の足跡や台湾語に同化した日本語からは「日本」を消すのがいかに難しかったのかがわかる。読み手の心情によっては「台湾の人びとに守られている日本」とも,「台湾文化にとけ込んだ日本」とも読めるのが魅力となっている。
これら多くの台湾の「日本」から台湾人だけでなく,日本人の息吹も伝わってくる思いがした。