(1)仲正昌樹著『集中講義! 日本の現代思想――ポストモダンとは何だったのか――』NHKブックス1072,269頁,本体価格1,020円,2006年11月30日
集中講義! 日本の現代思想 ポストモダンとは何だったのか (NHKブックス)
- 作者: 仲正昌樹
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2006/11/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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現代思想入門 グローバル時代の「思想地図」はこうなっている!
- 作者: 藤本一勇,清家竜介,北田暁大,毛利嘉孝,仲正昌樹
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2007/01/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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いつから現代と言うかは難しい。両書は大きく「第二次大戦後に影響を持った思想」を現代思想としている。狭くは,80年代後半から現在までの思想を扱い,「西欧諸国における批判的な社会理論の脱(正統)マルクス主義の諸潮流」がその内容と理解していい。それには,フランクフルト学派,ポスト構造主義,リベラリズム,カルチュラル・スタディーズ,ポストコロニアル・スタディーズなどが含まれる。
(1)は仲正の単著であり,「空回りした」マルクス主義の克服から現代思想の誕生を説明し,さらに現代思想の「左展開」までを俯瞰している。この場合のキーワードは「二項対立思考」の是認か否認かである。大胆に言えば,「二項対立思考」か否かという新しい(?)「二項対立思考」で現代思想を描く。
(2)は現代思想の諸潮流の概説と本の紹介を織り込んだ入門書だ。現代思想の思想性を客観的に描こうとする姿勢が読み取れる。(1)と違うのは,現代思想の日本での受容についての言及がほとんどないことである。現代思想の原典紹介が中心だが,この地図をもとに自由に旅せよが著者たちのメッセージかな。