書誌情報:朝日選書802,iv+290頁,本体価格1,300円,2006年7月25日
- 作者: 紺野大介
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2006/07/01
- メディア: 単行本
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われわれ日本人は隣国である中国の大学について意外と知らない。本書は,中国の頂点に立つと言われる清華大学と北京大学とを比較しながら,広く中国の高等教育システムを紹介したものである。
ナンバーワン大学は北京大学ではなく清華大学であることや(第1章),その卓越性を論じている(第4章)。また,たえず清華大学を意識しながらドイツ式教育方法を取り入れた北京大学の歴史と新しい模索についても独立の章を割いている(第2章)。さらには,両大学以外の重点大学と言われるトップクラスの大学についても詳しく触れられている(第3章)。清華大学招聘教授のキャリアを生かして,中国の歴代および現役政治家の学歴を追った章(第5章)も参考になる。
欧米志向が強かった日本にとって,中国の大学分析は未知のままである。清華・北京両大学を中心に紹介しつつすぐれた特質をやや礼賛気味なのは気になるものの,本書から多くの知見をえることができた。