書誌情報:朝日新聞社,961頁,本体価格2,000円,2007年5月1日
- 作者: 朝日新聞社出版本部「大学」編集室
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/04
- メディア: ムック
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1995年から刊行されている朝日新聞社の大学ランキング本。「日本の大学733校完全ガイド 400短期大学総覧」と銘打っている。いつも参照しているのは,第1部「日本の大学を徹底評価」だ。入試,総合,就職,教育,生活,研究,財政,社会,入試のランキングだ。このランキングは意味あるのかと思われる項目もあるが,参考になる。項目も入れ替えがあり,必ずしも統一されているわけではない。同一項目なら前年度より上がったのか下がったのかの指標があってもいい。
今回新しく項目に付け加わったもののひとつに12番目の項目「情報非公開ランキング」がある。「大学ランキング」編集長清水建宇の「大学にとって『不都合な真実』も受験生に知らせる責務がある」と題した1ページ半の文章と編集部のアンケートにたいする未回答大学を「非公表,回答せず」とした大学一覧である。一覧は実はどうでもよく,評者は,編集部が大学基礎データおよび学部データの公表は当然としたことを当然のことだと考えてきた。大学基礎データとは全学学生数,全学教員数,校地面積,受入図書,貸出冊数,初年度納付金,学部データとは受験者,合格者,入学者(以上は一般入試),推薦入学者,入学者総数(一般,推薦,AO入試などすべてを含む),就職先である。清水によるとこれらデータをすべて公表しているのは4年制大学の中で8割ほどと指摘している。本来ランキング本でやらなければいけないことは,「情報公開ランキング」のほうだ。大学には,普通の会社でおこなっている貸借対照表など財政状況のデータはもちろんのこと,入試にかかわるすべてのデータを開示する社会的責任があるからである。
今回の「情報非公開ランキング」は弱者を挫くかのようにみえてしかたがない。「超難関校と言われる有名大学でも,入学者総数か,その中の推薦合格者数のどちらかを隠すところが少なくありません」! このランキングで指摘すべきは「超難関校と言われる有名大学」の「情報非公開」だろう。「重要データの非公表は受験生の不利益につながります。文科省が保有するデータを公開することを強く求めます。」その前に「有名」大学がやるべきことがあるのだ。
大学によっては,たとえばすべての入試情報を過去7年間にわたって公開している。このような大学をまずはきちんと評価するのが肝心だ。それがランキングというものだろう。