061音無通宏編著『功利主義と社会改革の諸思想』

書誌情報:中央大学出版部(中央大学経済研究所研究叢書43),viii+523頁,本体価格6,500円,2007年3月31日

功利主義と社会改革の諸思想 (中央大学経済研究所研究叢書)

功利主義と社会改革の諸思想 (中央大学経済研究所研究叢書)

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中央大学ベンサム関連文献コレクションを有しており,国内外で有名だ。本書は中央大学経済研究所の研究チーム「ベンサム経済思想および経済政策研究部会」の共同研究の成果だ。ベンサム功利主義の権利論・正義論とベンサムの植民論を本格的に扱った論文からジェイムズ・ミル,ワルラス,ヴェブレン,ホブソンと功利主義論との関係を論じた論文(第I部),反功利主義あるいは非功利主義でありながら功利主義理解に資するアリストテレス,スミス,リスト,ヴィクトリア朝中期の文学論,初期マーシャルの認識論を分析した論文(第II部)からなる。功利主義が含意した社会改革思想を全体として浮き彫りにしようという問題意識を共有した共同研究といえるだろう。執筆者が必ずしもベンサム功利主義に限定されておらず,それらへの関わりがやや希薄な論文もないでもない。

執筆者
第I部 第1章 功利主義の正義論 池田 貞夫
- 第2章 ベンサム功利主義の構造と初期経済思想の展開 音無 通宏
- 第3章 功利主義と植民地――ベンサムの植民論―― 板井 広明
- 第4章 ジェイムズ・ミルの統治思想――共感,道徳的制裁,世論―― 益永 淳
- 第5章 J. S. ミルとL. ワルラスのレジーム構想――所有構造の変容を中心に―― 高橋 聡
- 第6章 ヴェブレンと功利主義――人間行為論を中心に―― 石田 教子
- 第7章 J. A. ホブソンの厚生経済学とその政策的展開 八田 幸二
第II部 第8章 アリストテレス『ニオマコス倫理学』における応報 濱岡 剛
- 第9章 アダム・スミスの資本主義観 和田 重司
- 第10章 F. リストと1839〜40年の経済諸論文 片桐 稔晴
- 第11章 ヴィクトリア朝中期における宗教意識と文学――M. アーノルドとA. H. クラフの場合―― 中川 敏
- 第12章 初期マーシャルの認識論と思想形成 門脇 覚