080谷内篤博著『働く意味とキャリア形成』

書誌情報:勁草書房,viii+189+x頁,本体価格2,200円,2007年2月15日

働く意味とキャリア形成

働く意味とキャリア形成

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現代は多様な働き方を選択できる時代といわれ,キャリア形成の大事さを主張する議論がある。大学ではキャリア教育やキャリア支援のためのセンター設置やそのためのカリキュラムの開発に必死だ。本書は,現代社会は自分のキャリアは自らの手で作り上げていくという自立的な生き方がもとめられる社会だとし,働くことの本質論とキャリア発達論およびキャリア設計論を結びつけて論じている。
働く意味については,職業一般に通用する職業倫理の涵養をポイントにあげる。また,社会のニーズと個人の自律性の希求からプロフェッショナル志向が強まっていると押さえ,職業生活上のキャリア形成(ワークキャリア)と人生や生き方に関わるキャリア形成(ライフキャリア)の議論を紹介する。
本書は,欧米の理論と人材育成の観点からまとめられたものであって,労働の人間化論や人間発達論の視点からまとめたものではない。なんらかのかたちで企業で働くことを前提にしたキャリア形成論といえるだろう。