108田坂憲二著『大学図書館の挑戦』

書誌情報:和泉書院,iv+225頁,本体価格2,500円,2006年11月15日

大学図書館の挑戦 (和泉選書)

大学図書館の挑戦 (和泉選書)

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著者は,2002年4月から4年間,福岡女子大学附属図書館長をつとめた。福岡女子大学は県立で2学部5学科,教職員学生を合わせても900人ほどの大学とのこと。予算と人員の少ない地方の公立大学図書館における奮戦記がこの書物である。
図書館長として取り組んだのが,(1)図書館所蔵の資料展示,(2)学生向けの図書館利用教育の充実,(3)開館日時の増加,(4)「図書館だより」の発行,(5)WEBCATOPAC利用のための講習会の実施,などである。いずれも図書館に人を得たとき,図書館のもつ資源を活用できた好例である。本書の半分ほどを占める第2章は,(1)として実現した資料展示の記録だ。著者の専門である日本古典文学とくに平安時代の文学におけるWEBCATおよびWEBCAT PLUSにおける書誌情報の不十分さの指摘(第3章と第4章)は,他分野でも共通する問題点でもあるだろう。また,装丁情報(日本の書籍にはカバー,帯,函などがあることもあり,書籍内容とともに重要な情報になる)の目録化の提言はうなずける。
「小さな図書館の小さな工夫」(本書収録の「図書館だより」の一タイトル)は,「大きな図書館」にとっても参考になる。