書誌情報:朝日新聞出版,960頁,本体価格2,000円,2008年5月1日
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昨年本ブログでとりあげ,「今回の「情報非公開ランキング」は弱者を挫くかのようにみえてしかたがない。(中略)このランキングで指摘すべきは「超難関校と言われる有名大学」の「情報非公開」だろう。」と指摘した(https://akamac.hatenablog.com/entry/20070423/1177322060)。今年も同様に「超難関の有名大学でも入学者総数や推薦入学者数を公表しない大学がある。認識を改めてほしい。」(93ページ)との指摘はある。発表すべきは「情報非公開ランキング」ではなく「情報公開ランキング」のほうであり,「超難関校」の実態だ。「超難関校」とぼかしながら「情報非公開」の大学を上げるのは本末転倒というしかない。「超難関校」はどこか知ってるけどね。
「女子学生ランキング」のうち「学部別比率」で,評者がいる愛媛大学法文学部が「法学部」の項でここ数年トップとなっている。法文学部にはたしかに総合政策学科に「司法コース」があるが,全体の3分の1程度だ。学部のくくりを工夫しないと意味のない数字となろう。
科研費については,4月25日に今年度の速報値が発表された。
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- 「平成20年度科学研究費補助金の配分について(速報値)」→http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/04/08042104.htm
4月9日に自民党内の「国家戦略本部」に「大学ランキング向上プロジェクトチーム」(本部長:福田康夫内閣総理大臣,座長:河村建夫衆議院議員)が発足したという。2004年から日本のすべての大学は国の認証を受けた評価機関による評価(認証評価制度)を受けなければならない。今度は世界でのランキングを向上させるプロジェクトか。ちなみに「大学ランキング向上プロジェクト」で検索すると,自民党が東京大学のランキングを向上させるプロジェクトを発足させたとする「誤報」が散見される。これはいくらなんでもないだろう。
日本の大学のランキングを全体として上げるためには,大学への恒常的経費を削減させつつ競争的資金の重点的配分というのではなく,これまで以上に恒常的経費を「先進国」並みに上げつつ競争的資金の導入というのが本筋だろう。