211社団法人国立大学協会『国立大学の目指すべき方向――自主行動の指針――』

書誌情報:社団法人国立大学協会,73頁,非売品,2008年3月発行

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国大協が発行したパンフレットである。中教審で提言された大学の個性化・機能分化が大きな流れであることを前提に,各国立大学が自主的な行動計画を策定するための基本的な方向性を「指針」として示したものだ。現在国立大学は第二期の中期目標・中期計画策定しなければならず,中教審答申「わが国の高等教育の将来像」(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/05013101.htm)で示された「大学の機能別分化」(①世界的研究・教育拠点,②高度専門職業人養成,③幅広い職業人養成,④総合的教養教育,⑤特定の専門的分野(芸術,体育等)の教育・研究,⑥地域の生涯学習機会の拠点,⑦社会貢献機能(地域貢献,産学官連携,国際交流)など)を明確にすることが求められている。もちろん,このパンフレットは同時に高等教育費に対する政府支出のGDP比が先進諸国で最低水準であることも指摘している。
ことは国立大学だけではない。さきの中教審答申の「大学の機能別分化」はすべての大学に関係することで,国立大学の法人化以降真っ先に国立大学が対象にされているにすぎない。三浦展著『下流大学が日本を滅ぼす!――ひよわな”お客様”世代の増殖――』について,「「下流大学」は淘汰されるから心配なく」と書いたのはこの意味である(https://akamac.hatenablog.com/entry/20080822/1219398745)。
このパンフレットはさいわい6月に電子化されてpdfで読むことができる。