204三浦展著『下流大学が日本を滅ぼす!――ひよわな”お客様”世代の増殖――』

書誌情報:KKベストセラー・ベスト新書(192),228頁,本体価格705円,2008年8月20日発行

下流大学が日本を滅ぼす! (ベスト新書)

下流大学が日本を滅ぼす! (ベスト新書)

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著者の「語りおろし」だが,「まじめ」な本だそうだ。具体的な提案部分は,大学進学率を20%程度に抑えるように,現在765ある大学(国立86,公立90,私立589)を300ほどに減らす,中学を6年制にし高校・短大,専門学校を廃止のうえ職業大学にする,中学卒業までに「学習内容修得度試験」を課す,オンライン授業にする,だ。大学,短大,専修学校への進学率は76.8%であるが,著者の提案はまずは教育制度を根本から変えろということ,さらに対面型授業を一切やめてしまえということを意味する。評者は,大学での遅々としながらも努力の積み重ねにしか将来はないと思っているけどね。
いま文科省の高等教育政策の基本は事前規制から事後規制である。潰れる大学が出てもそれは大学の自己責任であり,大学の存続は競争原理にまかせましょうということ。すくなくとも著者の言う「下流大学」は淘汰されるから心配なく。
下流新書」が新書を滅ばさないように祈ることにしよう。