書誌情報:NHK出版生活人新書(322),197頁,本体価格700円,20010年6月10日発行
- 作者:辻 太一朗
- 発売日: 2010/06/10
- メディア: 新書
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就活とは大学で身に付けた能力が試される格好の機会である。当事者である学生にとっては4年間(実際は3年間でしかないことが問題)の学びの中味が,大学(教職員)にとってはその学びをいかに担保してきたかが問われる。
学生の自己分析中心の就活や小手先の大学の就職サポートが,学生・大学・企業をダメにしているか。著者のアプローチに全面賛成だ。大学の教育と企業採用とが結びつかない就活は大学に歪んだ教育を強いている結果になっている。他方,キャリア教育の充実ということから就職支援こそが大学の使命であるかのような政策的誘導も同じ類のプラグマティズムだ。
シラバス・成績評価基準の公開,GPA制度の導入で大学の教育が変われば就活が変わると著者は主張する。大学教育の実質が大きな意味を持っているわけだから,大学教員の一人としても肯ける。
大学卒業後に企業に入ることがすべてであるかのように読めることでは著者の主張はやや一面的だろう。プータロウもよし,起業するのもよし,大学院に進学するのもよし。多様な選択と模索が可能な大学を入社一直線だけにして欲しくはない。
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