書誌情報:朝日新聞出版,182頁,本体価格1,200円,2009年12月30日発行
学歴の耐えられない軽さ やばくないか、その大学、その会社、その常識
- 作者:海老原 嗣生
- 発売日: 2009/12/18
- メディア: 単行本
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18歳人口減少とブランド維持のために,(とくに私立大学においては)一般入試定員(入学者)比率の縮小と偏差値トリックを編み出したことは驚くことではない。本書第1章で分析している早稲田大学と慶応義塾大学の数字はともに定員ベースだ。実際に一般入試,推薦・AO入試などで入学した実数を公開していないことが大問題である。「慶應は公表データが少ない」(34ページ)問題を掘り下げて欲しかった。
一般入試での科目減やマークシート方式の弊害の指摘はその通り。「3教科・2教科入試×マークシート多用=大量受験生×偏差値アップ型の学校経営は,生徒の質だけでなく,教授の質も落としている」(54ページ)には,大学関係者は耳を傾けるべきだ。社会人養成型カリキュラムの徹底の提言は,これだけ取り出せば意外に思うが,文科省や中教審による大学の種別化と合わせた大学再編案と軌を一にしている。
人気企業だけでなく中小企業にも視野を広げ,転職の機会を探れが著者の就活論の要点である。「就職より就社」の勧めは,総合職での能力形成と「社風,企業文化,組織風土が自分に合っている企業を探」(160ページ)せとセットである。フリーター受け皿の公的派遣制度については,結局フリーターはフリーターで生きろということにつながらないか。
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