702石渡嶺司・山内太地著『アホ大学のバカ学生――グローバル人材と就活迷子のあいだ――』

書誌情報:光文社新書(561),277頁,本体価格820円,2012年1月20日発行

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大学や大学生を「小馬鹿」にしている表の顔とは別に,アホ・バカを連発しながらも大学関係者への応援本といっていい。著者は,全国の大学パンフレットを読破した「大学ジャーナリスト」石渡と国内全大学訪問を達成した「大学研究家」山内である。
アホ・バカの大学・大学生を切り出しながら,地道な教育改革や大学間競争に取り組んでいる大学を評価しようという姿勢は本書を貫いているようだ。初年次教育,定員割れ脱出,特徴ある教育をキーワードに大学の努力を丹念に紹介している。大学の大きな柱である教育の面からの大学論である。
わが愛媛大学についてはリーダー養成の試みを本文――「愛媛県の国立大・愛媛大」(147ページ)と書かないとどこにあるのかわからないアホ・バカ読者がいるとは思えない。それからもうひとつ,「まとめ」で愛媛大学を指してであろうか「リーダーシップは自ら取るものではなく,大学が教える時代になりました」(152ページ)と書く。嫌みだね。でもそれを受け入れるアホ・バカさは評者にはあるつもり。――と一覧で,また評者が属する学科については特別履修コースを欄外で,それぞれ紹介してくれている。
就活デモについては本書では例外的に真正面からコメントしている。デモ学生たちは「就活のバカヤロー」(誰かの著書のタイトル)程度の乗りだったはずだ。「大学ジャーナリスト」が目くじら立ててバカ学生の行動に反論するまでもない。