書誌情報:PHP研究所,207頁,本体価格1,100円,2010年6月29日発行
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バカやバカヤローよりさらに過激にバカタレときた。タイトルでまず釣り,マンガでダメ釣りを狙った就活本だが,就活の悲喜劇をよくまとめている。最初の就職氷河期と言われた2004の就活,ダメな就活,就活の情報収集,インターンシップ,企業の採用裏事情,親,就活の歴史,自営業をマンガ(ストーリーマンガと四コママンガ)で描く。
石渡による欄外情報,補足情報,感想,ツッコミなどを入れて,遊び心満点の就活本に仕上がっている。内容はいたってまともである。業界に関係なく,ムダを知るためにも新聞を読めは,評者の100回の苦言よりも説得的だろう。ゼミで学生や教員と討論するのはグループディスカッションのいい練習であり,下手なインターンシップや有料のセミナーよりはるかにいいというのもいい。社会人との接し方「マナーの極意7ヵ条」もマンガを通して具体的だ。
「自己分析は出た当初,星占いと同じ扱い」はまさにそうだ。資格有利説を否定しているのも御意。50社の成長企業・ユニークな企業リストをつけ,大企業や人気企業だけでなく無名の中小企業という選択肢を肯定しているのは就活のセンスとしては真っ当だ。
「採用サイト風に本書を宣伝すると「読めば内定に近づけるパスポート」」(136ページ)。この意味をわかる学生は本書を読まなくてもいい。分からなければ読んだほうがいい。
「あまりカリカリせず」(まえがき),就活を笑い飛ばしてほしい。
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