114石渡嶺司著『最高学府はバカだらけ――全入時代の大学「崖っぷち」事情――』

書誌情報:光文社新書(318),254頁,本体価格740円,2007年9月20日

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書)

最高学府はバカだらけ―全入時代の大学「崖っぷち」事情 (光文社新書)

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評者にはなんとも刺激的なネーミングだ。いくつかの大学名の改名を指して「世間の常識と大いにズレていて,どこかアホっぽい」と揶揄するが,その伝でいえば,日本に東洋大学(著者の出身校)があるのがおかしくはないか。大学を,教職員を,学生をアホ,バカするのは著者の勝手だ。そのアホ,バカを対象にして飯を食っている著者は何様なんだろうか。「ライター・大学ジャーナリスト」とは恐れ入るばかりだ。
このように怒ってしまったら本書を通読していないということになろう。本書は大学がはたしてアホ,バカだらけかは別にして,昨今の大学事情をジャーナリスト的感覚でまとめたものだ。大学の情報未公開への義憤(第4章)とバカ学生の「化学反応」を大学に期待する章(終章)はいたってまともな問題提起といえる。終章のような可能性を大学にもとめるならこうした趣旨で本書を構成すべきだ。
COEやGPについては「一般の受験生に関係ない内容も多く,本書ではことごとく無視した」(253ページ)とのこと。競争的資金を導入して大学再編を企図する文科省の動きと大学の対応を解説するのがジャーナリストの仕事ではないのかと評者は思うがどうだろう。大学に問題がないとは思っていない。俗受けする話題を散りばめたとの印象が強い。
2007年の大学進学率を53.7%とする指摘が3個所(7ページ,9ページ,220ページ)ある。これは間違い。大学・短大の進学率が正しい。(四年制)大学への進学率は2007年で47.2%であり,日本の大学の歴史で50%を超えたことはまだない。早とちりだろうから,これをもってアホ,バカとは言うまい。
著者のブログでは第5刷決定と宣伝している。