700田宮寛之著『就活は3年生からでは遅すぎる!』

書誌情報:東洋経済新報社,215頁,本体価格1,300円,2011年10月20日発行

就活は3年生からでは遅すぎる!

就活は3年生からでは遅すぎる!

  • 作者:田宮寛之
  • 発売日: 2011/10/07
  • メディア: 単行本

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1〜2年生でやっておくべきポイントは5つ。①語学力アップ(TOEIC600点以上),②経理的能力を身につける(簿記3級以上),③経済に強くなる,④インターンシップに参加する,⑤就活資金を確保する,である。就活に勝ち抜くための実践的処方箋というわけである。
他方で就活で常識とされている資格,サークル,バイト,ボランティア,自己分析,SPI,エントリーシートなどへ疑問を投げかけ,学業に励むという当たり前の学生生活こそ就活成功の近道だと力説している。
大学は就活のためであるとは言い切ってはおらず,就活に的を絞った学生生活のおくり方とも読める。本書の学生のための就活アドバイス本はこれから大学生になる若者にこそ読んでほしい。
「大学名は重要だが,大逆転もありえる」し,「企業は一流大学であっても,基礎学力の低い学生を採用しません」としつつ,企業が採用に当たってターゲット大学を設定していて30校以下に絞っている。それゆえ「ターゲット校に入学できた学生はその時点で第1関門通過,入学できなかった人はハンディを負う」(55ページ)。これが本音とはいえ,「大逆転」や「基礎学力」を強調していると読んでおこう。
「学業に励むという当たり前の学生生活」は TOEIC も簿記もあるだろうが,「学業」の中身をさらに掘り下げるべきだろう。そうでなければ,学生生活≒就活準備になってしまう。「学業」の面白さや知る喜びを喚起できなければ所詮就活のための「学業」だ。大学1・2年生にはせめて就活を意識せず学ぶ楽しさを知って欲しいと思う。