217村松友視・浅井愼平・南伸坊・白井佳夫著『伊丹十三――カメレオン男のトリック――』

書誌情報:日本放送出版協会,155頁,本体価格650円,2008年8月1日発行

  • -

NHKテレビ「知るを楽しむ――私のこだわり人物伝――」(2008年9月,毎週火曜日午後10時25分〜10時50分:16日のみ午後8時〜8時25分)のテキスト。松山では一六タルトのCMで知らない人間はいない伊丹十三の人物伝だ。
伊丹の仕事のうち,村松が文章,浅井が映像や広告,南がテレビやCM,白井が映画監督について語り,器用さの裏に隠された努力と生き方を描く。自死を選択したのもわかるような気がする。
名前にちなんだ13のトピック――観察の人,書体の人,言葉で遊んだ人,食彩の人,スタイルの人,自分を知りたかった人,猫型の人,ユーモアの人,ビジュアルの人,ズラす人,監督した人,煮ごごりたち,変化した人――はマルチの男伊丹十三を知る手がかりになる。
67年の映画『懲役十八年 仮出獄』の出演時から,マイナスをプラスに変え,「伊丹一三(いちぞう)」から「伊丹十三」に改名したそうだ。
2007年5月15日(十三の誕生日),松山に「伊丹十三記念館」ができた。なぜ松山なのかについては知っている人も多いだろうから,ここでは触れない。丁度この直前,道路特定財源の補助を受け,「坂の上の雲ミュージアム」ができた(https://akamac.hatenablog.com/entry/20070512/1199511906)。「記念館」は一六本舗の提供によるが,建設費用は妻である宮本信子だ。対照的な両館ではある。評者の観察結果についてはまた後日に触れたい。