135檜山良昭が読んだドイツ語原書

檜山は「国際情報小説,歴史シミュレーション小説」作家である(「檜山良昭の閑散余録」http://www.slownet.ne.jp/sns/area/culture/reading/kansanyoroku)。評者は,檜山が学生時代に読んだドイツ語原書1冊を持っている。原書の最末尾にはっきりと自署している。

原書の約3分の1にあたる126ページぐらいまでにボールペンや万年筆で単語の意味を書き込んだり,下線を引いたりしている。巻末にある目次についても書き込みなどがある。ほかに318ページと319ページの間に,「地域経済研究所」の原稿用紙半分が挟みこまれている(ただし,檜山のものかどうかはわからない)。あるページは以下のようになっている。

この原書は『資本論』ドイツ語版(ディーツ版,1965年)第2巻である。署名が示すように,学生時代に購入し,大学院受験の準備を兼ねて読んだものと思われる。評者がいた研究室の本箱に置いたままになっていたのを,そのまま自分の本にしてしまったらしいのだ。先輩たちが残していった本はほかにも何冊もあり,たまたま評者が使うようになった本棚にかの本があったということになる。評者の大学院時代は檜山が作家デビューする前後にあたり,まだ檜山の名前はそれほど知られていなかったと記憶する。檜山良昭という名前が『スタ−リン暗殺計画』,『ヒトラ−の陰謀』の作者と同一人物だと気がついたのは,ずっと後である。
こんな事情で現在は評者の手元にあるが,檜山がもし「返却」を希望するのであれば,いつでもお返ししたいと思っている。