031コルナイ教授講演会とマルクス・シンポ(三報)

セミナーは終了した。40名ほどの参加があった。遠く(?)松山(評者ではない),岡山や京都,大阪からも参加された方がいらっしゃった。通訳なしの英語かドイツ語のシンポにしては,予想以上の盛会といえる。評者の泥縄の報告も無事終了した。レセプションには明日講演されるコルナイ教授夫妻も顔を出してくれた。明日がメインの招待者は今日のセミナーからの参加だ。ジャック・ビデ(Jacques Bidet)夫妻,旧知のロルフ・ヘッカー(Rolf Hecker),ミヒャエル・クレトケ(Michael Krätke)のほか,10月北京大学でホストを務めてくれた宇文利(Yu Wen Li)さんとも再会した。1980年代末にはじめて『資本論』全3巻を韓国語に訳した金秀行(Kim Soo Haeng)さんとは初めてお会いした。古典派経済学とマルクスの韓国での普及についての研究に協力してくれることになった。評者の知るかぎり,韓国でのアダム・スミス『国富論』の全訳は1971年と,日本とは1世紀ほどのタイムラグがある。
毎日新聞(神奈川版)2008年12月5日付けでマルクスの風刺画とシンポの紹介記事が出た。

マルクスの風刺画
集めて母国ドイツで出版
神奈川大のシンポで展示販売
資本論」の著者,カール・マルクス(1818〜1883)の風刺画を集めた本が,母国ドイツで発行された。「マルクス漫画」は5〜6日に神奈川大(横浜市神奈川区)であるシンポジウム「マルクスの遺産」で展示,販売される。
マルクスを漫画にするとはけしからん,と怒る人もいるだろうが,マルクス再評価で面白い試みと思った」
編集にかかわった窪俊一東北大准教授(53)=ポップカルチャー専攻=は話す。ドイツ人の図書館司書ら3人で欧米のマルクスを描いた風刺画をまとめ,3月に出版(約5,000円)した。
表紙は「資本論」を執筆した英国ロンドンにちなみ,マルクスがシルクハットであいさつしている。アインシュタイン博士がペロッと舌をだすポーズを,ひげだらけのマルクスがまねた漫画も。いしいひさいち氏ら日本人の作品も収録されている。
批判的な風刺画が主流だが,中央にマルクスがいて左右に毛沢東レーニンがいる「マルクス賛歌」も少しある。「社会主義の中国の作品はない」と窪准教授は指摘する。
シンポジウムでは独や仏,中国,韓国らの専門家が「マルクス思想」を論議する。1年がかりで企画した神奈川大の出雲雅志教授(52)は「日本で『蟹工船』がブームになったように,欧米ではME(マルクスエンゲルス)を見直す動きが出ている。資本主義経済の消滅過程を描いたマルクス思想を今,問い直すもので,若者も参加してほしい」と呼びかけている。
問い合わせは神奈川大(045-481-5661)。

会場では風刺画は4,000円で売っていた。折角の機会ということで,他の数冊とともに購入した。ホテルに戻ってロルフ・ヘッカーと飲み直し。ロルフから風刺画出版を記念して作ったという特製マグカップをもらった。風刺画とマグカップは追って紹介することにしよう。