264デニス・ダニエルソン著(田中靖夫訳)『コペルニクスの仕掛け人――中世を終わらせた男――』

書誌情報:東洋書林,333頁,本体価格3,200円,2008年7月23日発行

コペルニクスの仕掛人―中世を終わらせた男

コペルニクスの仕掛人―中世を終わらせた男

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本書の主人公は,16世紀の数学者ゲオルグ・ヨアヒム・レティクス(1514-1574)である。彼は,近代三角法の創始者であり,無名の天文学者だったコペルニクスの論文公表に尽力した。もし,ふたりの出会いがなければ科学革命はなかったかもしれない,「仕掛け人」というわけである。
当時支配的だったのはプトレマイオス天文学アリストテレス神学だった。プロテスタントのレティクスがコペルニクスの新説に惹かれ,しかも年少者が年長者を発見する。大学の数学者が年老いた一介のアマチュア天文学者の理論に注目する。ここには,大学を追放されるなど人間くさいレティクスの評伝をとおしてみた科学革命のドラマがある。
評者にとってはかつて行ったことがある(でもたった一泊)ライプツィヒもひとつの舞台になっているのもうれしい。