昨日触れた『中央公論』2009年2月号の「大学の絶望」論(https://akamac.hatenablog.com/entry/20090114/1231943106)と好対照だ。なぜ「大学の絶望」と題して特集を組むのか一言もなかった。『現代思想』は明確に焦点を「財務省主導,あるいは端的に,財政縮小,行政改革による緊縮財政によるもの,つまりはグローバリゼーションの効率化による論理」(編集後記)にあると言っている。「これ(見るべき現実:引用者注)は大学人にとって未曾有(これは「みぞゆう」とは読まない:引用者注)の経験であることに,(大学人は:引用者注)もっと自覚と誇りを持つべき」(同上)とはまさにそのとおりだ(ただし,この「編集後記」は修辞が目立つ)。
個別の論稿には言及しない(目次→http://www.seidosha.co.jp/index.php?%C2%E7%B3%D8%A4%CE%BA%A4%C6%F1)。困難の所在とそれに立ち向かおうとする姿勢は多くの力作に感じることができる。『中央公論』の,大学論が消費の対象でしかなく,雑な編集とは雲泥の差がある。バックナンバーとして買っておいて損のない特集だ。