書誌情報:(1)講談社,189頁,本体価格1,200円,2008年4月28日発行,(2)三笠書房,237頁,本体価格1,500円,2008年8月20日発行
スマイルズの名著『品性論』―古典には、「自分を変える力」がある
- 作者:サミュエル スマイルズ
- メディア: 単行本
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(1)は Self-Help (1859) をもとにしたエッセンス版,(2)は Character (1871) をもとにしかつて同じ翻訳者による『向上心』を改訳・編集したもの。スマイルズの本は,先人の知恵と経験から教訓話をまとめたところに特徴がある。
日本では明治初期に,中村正直訳で『西国立志編』,『西洋品行論』として紹介されたもので,西洋思想の日本(そして中国)への導入の嚆矢をなしたものだった(平川祐弘著『天ハ自ラ助クルモノヲ助ク――中村正直と『西国立志編』――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070507/1178531320)。スマイルズの人生訓・処世訓は彼の名前から自由になり,一部は日本のそれと混交し現在まで人口に膾炙しているものも多い。スマイルズをふくめ古典の復活は先行きへの不安を抱かせる政治・経済状況と品格流行りに乗りつつ古典のもつ普遍性に注目した出版社の思惑とがあるだろう。
原文は何だろうか?翻訳書なら最低限の書誌情報だろうに。
中村正直訳は国立国会図書館「近代デジタルライブラリー」で読む(見る)ことができる。
また,英語は「プロジェクト・グーテンベルク」にある。
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- Self help; with illustrations of conduct and perseverance→http://www.gutenberg.org/etext/935
- Character→http://www.gutenberg.org/etext/2541