282大村敦志著『他者とともに生きる――民法から見た外国法――』

書誌情報:東京大学出版会,xx+253頁,本体価格2,800円,2008年1月30日発行

他者とともに生きる―民法から見た外国人法

他者とともに生きる―民法から見た外国人法

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なるほどこうした民法論もありえる,というのが第一印象だ。外国人という日本人にとっては他者をつねに念頭において民法を考えるというわけだ。国籍にもとづくナショナルなもの,民族にもとづくエスニックを超えて人と制度を考えるというのは斬新である。
先日性転換をした元女性の逸失利益の算定に,男性としての平均賃金を前提にした判決があった。日本人でもこうした多様性が出てきているときに,外国人を含めて「人」をどう考えべきか。市民権という場合の市民とはどの範囲まで含めるのか。
外国人にかんする法律書あるいは概説書かと思って買っておいた本だったが,勘違いがおもしろい本に出会わせてくれた。