書誌情報:中公新書(2008),vi+193頁,本体価格740円,2009年6月25日発行
- 作者:根井 雅弘
- メディア: 新書
- 作者:根井 雅弘
- 発売日: 2010/04/07
- メディア: 新書
- -
前著は,「市場メカニズムと政府の経済管理のあいだの絶妙なるバランスを試行錯誤で模索する以外にない」(iiiページ)とする立場からの新自由主義経済思想をフリードマンを中心としてまとめたもの,新著は,ケネーとマルクスの経済循環論から制度派経済学までの経済思想をテーマ別に概観したものである。コラムの挿入と中村隆之の補説とまったく同じ構成だ。
前著は比較的引用が多い。新自由主義経済思想をめぐる理論形成と論争を描き,アメリカ経済思想の多様さを紹介している。新著においても新自由主義と古典派の自由主義との違いを強調し,新自由主義批判の問題意識を共有している。
「第四章までは,経済学の本流をつねに意識して記述してきましたが,(中略)。彼らを全員拾うことはできませんが,(中略)。もちろん,以下に見ていくように,「制度」の意味は論者によって多様なのですが,(後略)」(新著178ページ)などのように頻出する「……が,」の文章(前著でも頻出)は,「向学心の高い読者層」(新著208-9ページ)にはおすすめできない。
- 1年前のエントリー
- トニー・ジャット(森本醇訳)『ヨーロッパ戦後史』(上)(下)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090411/1239439894
- 万年筆雑感→https://akamac.hatenablog.com/entry/20090411/1239439895
- 《一言自省録》万年筆コレクションにスーベレーンが加わった。
- 2年前のエントリ
- 埋橋孝文編著『ワークフェア――排除から包摂へ?――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080411/1207908226
- 《一言自省録》排除論はいまや排除されつつある。
- 埋橋孝文編著『ワークフェア――排除から包摂へ?――』→https://akamac.hatenablog.com/entry/20080411/1207908226
- 3年前のエントリー
- リカードウ研究書2冊(その1)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070411/1176284751
- 《一言自省録》古典派を対象とする研究はいまや希少価値がある。
- リカードウ研究書2冊(その1)→https://akamac.hatenablog.com/entry/20070411/1176284751