書誌情報:NTT出版,145頁,本体価格1,400円,2010年4月19日発行
- 作者:NPO法人知的生産の技術研究会
- 発売日: 2010/04/12
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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編著者の NPO 法人は梅棹忠夫著『知的生産の技術』(岩波新書,1969年)に刺激されてできた研究会である(略称「知研」)。ビジネスパーソンむけの勉強会(任意団体)として発足し,2000年に NPO 法人となり,今年創立40周年を迎えた。 現在全国に支部があり,機関紙「知研フォーラム」を年数回発行している。刊行した本は35冊以上になるという。
インタビューによる質問をもとに構成したもので,生い立ちから現在までの個人の歴史を中心に,知的技術にとどまらない知的生産に取り組む姿勢や心構えを浮かび上がらせる工夫がある。
登場者は,関口和一,茂木健一郎,軽部征夫,久米信行,勝間和代,佐々木俊尚,土井英司,蟹瀬誠一,久垣啓一。すべての情報をデジタル化する関口,猛然たる雑学を勧める茂木,アウトプット優先を説く久米,良書の読書とベストプラクティスを活用する勝間, IT の駆使による文章を書くプロセスの構造化を実践する佐々木,人的ネットワークの大切さを強調する土井と蟹瀬などそれぞれに知的営為のエッセンスを披露している。
「読書によって多くの知識を蓄えると,知らず知らずのうちに,ひとかどの人物と同じ高みに立ったと錯覚することである。しかし,この錯覚がみじめに崩壊するのは,いざ自分がまとまったストーリーをアウトプットしようとした時,自分自身が押し出そうとするリアリティとパワーがないことに気がついた時である」(「あとがき」)のは当たっている。
「知研の継続会員からは,一部上場企業の社長や大学教授を多数輩出している」(「編著者紹介」から)そうだ。知的生産はなにも「ひとかどの人物」になるためだけのものではない。梅棹の知的生産の技術が広く受容されたのは「ひとかどの人物」ではない普通の人物にとっても知的生産が持つ意味を透視できたからだろう。
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