558ドイツ・メルケル首相諮問委員会倫理委員会報告書『ドイツのエネルギー転換・未来への共同事業』

大飯原発4号機も再稼働。評者の予想どおりである。毎週金曜日の首相官邸包囲デモを一行も報じない新聞にも驚かない。残念ながら……。
日本の大震災・原発事故後ドイツはいち早く脱原発を宣言した。その決定のもとになったのがドイツ・メルケル首相下の委員会の報告書である(2011年5月30日)。
その報告書が日本語に翻訳され公開されている。「「フクシマ」ショックから100日で「脱原発」決議 メルケル首相諮問機関「倫理委員会」報告書」として社民党のウェブにある(→http://www5.sdp.or.jp/policy/policy/energy/energy120629.htm)。いま評者はどの政党かは問わない。訳者の百濟勇(ももずみ・いさむ)とともにドイツの決断にエールを送りたい。報告書と訳者の解説は貴重な資料となる。
・「倫理的根拠からも,原子力発電は,これまでの原子力電力が,リスクの低いエネルギー供給によって代替されることが出来る迄と,限定稼働すべきであろう。」
・「ドイツに必要なより安全な未来は,持続性を持つ三つの支柱より成立している:即ち,健全な環境,社会的正義及び堅実な経済である。かかる三つの原則に沿ったエネルギー供給こそ,ドイツにおいて,国際的な競争力を持つ経済,雇用の確保,社会の豊かさ並びに社会的平和に必要な長期的な基礎なのである。」