1328真保裕一著『デパートへ行こう!』

書誌情報:講談社文庫(し-42-17),486頁,本体価格743円,2012年8月10日発行

デパートへ行こう! (講談社文庫)

デパートへ行こう! (講談社文庫)

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閉店した老舗デパートの深夜にくり広げられるドタバタに人それぞれの物語が詰まっていた。ありそうもない設定ながらありそうな人間の悲喜劇が秀逸だった。
少女に代わっての台詞――「見かけ倒しの取り繕い」――がおじさんには響いた。「他人を思いやれと言いながら,人の不幸は梨に目を輝かせる。誠実であれと諭しながら,正直者を陰で嘲笑う。ガンバレ,あきらめるな,と子どもなちを励ましておきながら,夢をあきらめずにバイト暮らしを続ける若者には平気で白い目を向ける。」(357ページ)