001佐伯胖・湯浅良雄編『教育におけるコンピュータ利用の新しい方向――「わかちもたれた知能」と学習者共同体の形成――』

akamac2007-02-10

書誌情報:コンピュータ利用教育協議会 Council for Improvement of Education through Computers (CIEC),1998年7月20日,143頁,本体価格1,200円
初出:コンピュータ利用教育協議会コンピュータ&エデュケーショ ン』第5号,柏書房,1998年11月30日

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コンピュータ利用教育協議会 (CIEC) の最初の書籍です。1997年のPCカンファレンス・シンポジウムの記録を第1部に,シンポジウムの問題提起をさらに一般化する目的で後日開催された座談会を第2部に,それぞれ配しつつ「わかちもたれた知能」と学習者共同体の形成についての議論がおさめられています。
第1部では,構成主義佐伯胖),認知的徒弟制度(ロイ・ピー,Roy D. Pea),外化と共有(三宅なほみ),学びの共同体(佐藤学)をそれぞれのキーワードにしながら,コンピュータと教育との関わりについて興味深い実例の紹介と理論化の試みがなされています。
第2部では,「わかちもたれた知能」という概念を中心にしたときの日米の考え方の相違,コンピュータの役割,視覚化共同研究の探求などが浮き彫りにされています。第1部では論じ尽くされなかった問題点が手際よく整理されています。
新しい認知科学の知見にもとづくコンピュータ利用の模索という点で,従来の書籍にはない特徴を持っています。コンピュータ利用教育に関心を持つ多くの人々に読んでいただきたい本ですし,その期待に応えられる本であると確信します。