002アリアドネ編『思考のためのインターネット――厳選サイト800――』

初出:コンピュータ利用教育協議会 (CIEC)『コンピュータ&エデュケーション』第7号,柏書房,1999年11月30日

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アリアドネとは,「ギリシャ神話で,クレタ王ミノスの娘。ミノタウロス退治のテセウスに糸を与えて,ラビュリントス(迷宮)から脱出する道を教えた。そこから,難問を解く方法を『アリアドネの糸』という。」(『広辞苑』)
アリアドネの主宰者である二木麻里さんの編著の第二作が本書。インターネット・ガイドブックでありながら「ものを調べ,考える糸口」を指し示す点で,ひとつの作品にほかなりません。二木さんは「静かな見方」と言っています。厳選したウェブに付した寸評が二木さん自身の姿を表出させています。
前著は『調査のためのインターネット』(ちくま新書,1996年)でした。今回は『思考・・・』。タイトルの変化は,二木さんのインターネット観の変化でもあるのでしょう。インターネットと人間とのあり方を「思考」とまとめたことに,強いメッセージ性があります。
西新宿にある「残日時計」は,1999年8月20日で21世紀まであと500日を表示しました。世紀の転換が千年紀の転換でもある変わり目にあって,インターネットという今までにないインフラとそこにある無数ともいえるリソースは,私たちへの知的贈り物にちがいありません。二木さんは,それらリソースを「思考」のための素材としてまとめ,知の創造へ誘います。一読,一覧あれ。