315大内伸哉著『雇用はなぜ壊れたのか――会社の論理vs.労働者の論理――』

書誌情報:ちくま新書(775),223頁,本体価格740円,2009年4月10日発行

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会社の論理と労働者の論理(と生活者の論理)とをそれぞれ対比させ,労働法から雇用をめぐる論点を整理している。扱っているのは,法と道徳,男と女,仕事と余暇,敵対と協調,エリートとノン・エリート,会社人と職業人,「使える」社員と「使えない社員」,アメとムチ,ベテランと新人,正社員と非正社員,雇用と自営の11項目である。
会社か労働者かの対立軸の基底に労働者と生活者との「微妙なバランス」を見つつ,日本型雇用システムの特徴をおさえている。会社と労働者の調整としての労働法が労働者と生活者の「バランス」まで視野に入れる必要があることを教えている。