003情報教育研究会編『情報リテラシー』

akamac2007-02-20

書誌情報:技報堂出版,(第1版)2000年3月25日,(第2版)2004年3月10日,vi+143頁,本体価格2,200円,asin:4765533336
初出:コンピュータ利用教育協議会『コンピュータ&エデュケーショ ン』第8号,柏書房,2000年6月5日

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本書は,情報処理教育のテキストとして編集された。著者たちが留意したことは3つの点((1)基礎知識,(2)スキル,(3)場面認知力)であり,コンピュータ概論からプログラミングまで多岐にわたりながらもよくまとまっている。マニュアルではなく,読み物としても工夫があり,実習現場でのテキストとしてはもちろんコンピュータ初学者の自習にも役立つ。
コンピュータおよびインターネットからプログラミングまで視野に入れることによって「主として工学部の学生が身につけるべき情報処理リテラシー」の涵養に有効だろう。紹介者としての希望がいくつかある。第4章「エディタの使い方」では,プログラミングや定型文書の作成だけではなく,テキストデータの作成や蓄積の意味とコンピュータならではの検索や置換の機能についての説明が欲しい。第7章「表計算」では,データの活用としてプレゼンテーションへの活用,グラフ作成についての説明があってもいい。第8章「WWWによる情報交流」では,HTMLエディタと連繋させたほうが理解しやすい。発表・報告(場面認知力の応用として)を想定した一歩進んだ情報リテラシーのためのヒントや文献などの案内,データベースソフトの活用と応用,なんども読み返すテキストとしての索引も必要に思う。
分野を超えて,いい講義のためにはいいテキストというのは常識かもしれない。本書がそうした試みのひとつとして評価したい。またCIECの研究会などでの経験交流にもインパクトを与える書物として是非一読をすすめたい。